コラム

「スキルアップ講座が終わりました!『新たな発見をしました』」

真船先生の講義にすとんと落ちた自分を感じました。 思春期の問題を議論していても、何か大事なものを忘れているよな、といつも感じていました。 それは、携帯電話やインターネットから子供たちをどう賢く立ち居振る舞うかを教えることかなと思ったりしていました。 昨今の事情はもっと深刻で得体の知れないものを感じていました。若者たちの基礎的能力についてでした。生活習慣から来るもの、基礎学力の不足から来るものなど様々な要素が複合しているのでどこから手をつけるべきかと思い悩んでいました。

子供たちだけがおかしいのではなく、社会全体の流れが、知ろうとしない/決断しない/実行しない構造になって来ているんですね。それを漂流という言葉で表現していましたが、個人個人のところまで掘り下げて行くと、あまりにも大きな問題にはまってしまった日本の姿が見えてきます。 真船先生は、表現がリアルで分かりやすかった。この内容が、思春期の根本にあることを忘れてはならないと思いました。

あれ以来、ずっと考えています。どうやってそういう子供たちを救い出したらよいのか。どうやってチャレンジする子供に育てて行ったらよいのか。必ず困難な壁に突き当たるのですから、自分でそれを乗り切る気力やノウハウを身につけなければなりませんね。

私は、プロジェクトマネージャーという仕事をして来た関係で、目標を決めたら、しっかり投入する資源を決めて、問題を解決するために必要な人を集めてプロジェクトを組む。総力を結集してチャレンジする手法がイノベーションを実現する方法であると言い続けて います。個人レベルではなかなか難しくても、グループのなかに取り込んで集団で力を発揮する訓練をしたらよいのではと考えているところです。

「は~い、がんばりま~す」が耳に残っています。

高須 3月1日

「今、なぜマネジメントなのか」~その2

ホームページの案内ニュースには、元代表の藤井先生が「マネジメントについて勉強しているの」と言ってくれたからです。そう説明したら冗談になってしまうかも知れませんが、本当にそれがきっかけでした。陳腐化した組織には、今、マネジメントが消えてしまっているのです。日本の中枢組織においてさえ、崩壊するかもしれないことが公然と印刷物になって発表されています。多くの原因が、政官財の癒着による利益を貪り食う体質が改革を妨害する。官依存に慣らされた国民が変化を好まない。騒がない民衆は、黙って沈没を待つしかないのか。そんな状況にあるというのが私の最近の心境です。

1.現況直視、閉塞の壁

目下、日本の政治がばらばらになってしまい、目標がぼんやり見えているにも拘らず、長い間漂流を続け、とうとう「閉塞の壁」に囲まれてしまった感があります。この漂流は、20年以上になりさすがに周りの景色が変わり始めて、最近は、ジリ貧から破綻が意識されるようになりました。

それでも、政府や官僚からは、「何とかしようと」という気力が感じられません。それは,今のままの方が気持ちよく、彼らのとっては安心だからです。彼らは、自ら変わろうとはしません。まるで既得権か何かのように思い込んでしまい、周りの景色が見えなくなっているからでしょう。

「閉塞の壁」が限界に来ています。次に待っているのは「破綻」であり「沈没」です。 彼らに任せておいたら、「ゆで蛙」のごとく眠ったままの安楽死を迎えることになりかねません。このことに気づいて、大至急、閉塞のぬるま湯から誰かが飛び出さなければ日本が消えてしまうかのような大惨事に見舞われるでしょう。

2.市民社会への期待

この壁の全部を一度に壊すのは大変ですが、どこか一点が破れたら一挙に時代を変えることができるでしょう。新しい時代とは、一人の英雄が登場するのではなく、「あなた自身」 が主役として登場する「市民社会」です。政治や経済の形がどういう風に変わるかというのではなく、主役が変わるのです。脱官僚社会になれば、官僚は下であるはずですから、「あなた自身」が賢くならなければなりません。(ベルリンの壁のように)

一時に思い付きではこの壁を破ることはできません。不断の努力があって初めて実現するものですから、いくら待っていても実現するものではありません。天才の思い付きによる改革を期待しても何にもなりません。自らが変わらなければ実現しないのです。

3.ブレイクスルー

変わるためには、「ブレイクスル-」「イノベーション」が必要です。ゆっくりした変化では、ジリ貧の力に勝つことはできません。皆さんの身の回りでの具体的な「一点突破」が現実的です。あなた自身が、具体的な何かに集中して変わることができれば、その力は巨大になり、やがて壁は黙っていても崩れていきます。

4.マネジメントの発想

「目標を見つけて具体的に行動する」ことこそが、マネジメントの始まりです。大目標を設定して、行動目標を定め、必要な経営資源を集中的に効率よく投入し、それがうまく進むようにチームのコミュニケーションを良くするように努力すること。難しく考える必要はありません。私たちがセミナーで学んできたコミュニケーション力や臨床心理の技術がこのときに力を発揮します。

5.横断的展開、プロジェクトマネジメントによる一点突破

一般的には、従来の組織が機能不全に陥っていることが多いので、縦割りではなくて、横断的に人材を集めてプロジェクトチームを組むことが普通に行われています。特定の目的達成のために期限を定めて立ち上げるのが普通で、極めて戦略的な要素の強い一時的なチームです。チームリーダーは、プロジェクトマネージャーないしはプロジェクトリーダーと呼ばれ、組織がきちんとしていれば、トップからの辞令が発令され、権限が付与されます。同時に経営資源(人・物・金・情報など)についても権限を掌握します。ただし、プロジェクトの推移に関する情報は、適時、ステークホルダー(関係者)に報告する義務があります。

経営資源を集中的に投下するために、目標を具体的に定めて一点突破することにより、成功の暁には、チームそのものが一挙に生まれ変わります。生まれ変わった組織を新しい継続的な組織に変換すれば、事態は急速に改善されます。集中力が必要といわれるゆえんです。このことは、個人の中でも同じように考えることができます。個人の中で革命が起これば人生は大きく変わります。子供たちに、この可能性を見出すことは、汚れきった現在の組織よりはるかに簡単に具体化できるはずです。子供たちの汚れは、まだそんな重症ではありません。

6.ドラッガーから学ぶべきこと

そのために、「ドラッガー」の経営哲学は、大変有効です。今までの私の文章の中に書かれていることは、すべて書かれているといってよいでしょう。子供たちの教育の中に「マネジメント力」をはっきり意識して取り込むことで、新しい未来を切り開く能力を付与できるのではないかと思います。同様に、家庭や学校、職場に持ち込んで閉塞の壁を突破するための不断の努力を始めようではありませんか。

一人では限界があります。3人いればかなりのことができます。5人いれば、NPOをスタートさせてもおかしくはありません。(法人格はともかく)

7.子供の自立にもっと注目して

参考までに、思春期教育に関わってから感じている私の個人的な教育の柱を次のように考えています。(1)身体的精神的に健全な生活習慣を身に着けてライフスタイルをきちんとしたものに育てる。(主として家庭が中心)(2)一生それで食べていけるようなライフスキルをなるべく早く身につける。早い時期から何になりたいかを意識させる。(そのために早くから社会に目を向ける)小中高は基礎的には一定のレベルをがっちり教育するが、やや高度なレベルは、個人の能力を引き出す工夫が必要になる。(3)個人の好きなことや強み(合わせてコンピテンスということにしましょう)をできるだけ早くから注目して、潜在能力の発見に努め、それを伸ばすことが教育の目的と考える。個性を豊かに育てることがグローバル社会では大きな意味を持つと思います。

もうひとつ付け加えるとすれば、成長のレベルに合わせて、「社会との折り合い」(コミュニケーション能力でもある)をつけられるように、「一人では生きられない」ことをしっかり意識し、「誰かと協力する知恵」を身につけられるように、日常の行動に注意する必要があると思います。そのために学校・家庭・社会のパートナーシップ(役割分担)を再生させる必要があります。

今回のセミナーでは、初めての試みとして、「マネジメント」を意識、その入門的な知識を学習した上で、「一歩踏み出して見る」グループワークを企画しました。「ライフスタイル」をきちんとしたものにするために、私自身が大変参考になった「体の仕組み・免疫」について、「薬の正しい使い方」をセットでプログラムを組んでみました。

特に、免疫については、私自身が、この1年間テーマを持って学び続けてきました。瀬尾用の薬のほとんどが対症療法に使われており、人体が持っている回復する力をむしろ阻害しているという事実をしっかりと知るべきである。回復力を高めるための暮らし方を、小さなときから習慣として身につけておく必要がある。現代社会は、ストレスに囲まれているといっても過言ではありません。車であれば、アクセルとブレーキの関係になる自律神経のことについて、もっと詳しく知っておくことは、毎日の暮らしの中でとても重要なのではないかと思い至るようになりました。

思春期といえば、性や犯罪、病気などのことに傾きがちだった過去。情報が手軽に手に入る時代になっても同じスタンスでは効果がありません。子供たちは、従来とは明らかに違う環境の中で急成長するのです。自立を求めて模索します。有効な手立てが必要だと思いませんか。今回は、早くから「子供の自立に向けたマネジメント」の重要性を考えてみたいと思います。

みなさん自身が目覚めて動き出すことがすべてです。そのことに気づいてほしいと思います。そして、子供たちの前や職場で実践の試みをしてはどうでしょう。このままでは、子供たちの将来は明るくなりません。私たちの責任です。NPOは、誰からも命令されるわけではなく、自らの意志で動くという点で究極のマネジメントの形かもしれません。

高須 7月7日

「今、なぜマネジメントなのか」

それは、顧問の藤井先生が、突然、「マネジメント」を口にしたからです。 私にとっては、経営にマネジメントは不可欠で全く当たり前の話ですが、 病院は、医療を提供する側の都合で患者と向き合ってきたという歴史的な 経緯が強く、患者中心の医療どころか、医療保険の都合に合わせて診療が 左右されるというおかしなことが当たり前のように行われて来ました。

日本の社会の閉塞感は、今や、ピークに達しようとしています。医療以外 についても破綻が目に見えてきました。今までの送り手の都合で諸制度を 維持することは難しくなってきました。支出はますます増大して、収入が 減る。そのマイナス分を未来からの借金でまかなうことも限界に達したか らです。医療も教育も介護も皆同様の状況で、今の閉塞状況をなんとかし なければ、持続は不可能になって来ました。

20年以上も続いた日本の漂流もそろそろ破綻の域に突っ込み始めていま す。政治は政権争いが続き誰がやっても日本の借金は減ることがありま せん。暮らし方を変えずにいたら、子どもたちの未来は借金の山になってし まいます。いい加減に思い切って過剰な便利さを手放す時が来ています。

こういう流れの中で、産業や経済ばかりではなく、社会の仕組みや個人 の意識もまた限界に来てしまいました。スマートに変身して、お金のかか らない気持ちのよい暮らし方に変身するために、現状に対するブレイクス ルー作戦やイノベーションが必要になりました。

みんなで決めた目標に向って、エネルギーを集中して努力を継続しなけれ ばなりません。一人ではたいしたことはできなくても、チームを作って力を 合わせることによってそれは可能です。そう意味で「マネジメント」の世 界で使われてきた手法を改めて見直すことはとても有効だと思います。と りわけ、プロジェクトマネジメントの手法は、目標に向って既存の組織の 力を越えたエネルギーを結集してブレイクスルーを実現しようという方法 は、ぴったりの考え方です。

経営資源(人、物、金、情報など)目標に向って統括的、効率的に投入す ることによって閉塞の壁を突き破ることは可能であるし、ぜひ取り組むべ きだと、私は、考え続けてきました。マネジメントといえば、年月を経て も輝き続けている我らのドラッガーの思想をここで学んでおくことは、と ても意味のあることだと思います。藤井先生が、思い至ったのは当然だと 思います。個人と社会、それをつなぐ組織の関係について少し考えてみま しょう。人格の形成に役に立つことは間違いありません。子どもたちの自立 に向けて、これまでは、自由に発散する方向だったと思います。その結果、 心の崩壊までの気になるようになりました。

努力して未来社会が持続可能であるように修正するために今夏のセミナー において「マネジメント」を中心に据えました。同じような趣旨で取り上げ たテーマが、「免疫」と「薬」です。現代社会の無軌道ぶりは、人間の傲 慢さを露呈しています。ライフスタイルは、便利さに翻弄されてすっかり 歪んでしまいました。人体が持っている本来的な仕組みをしっかり理解し て、できるだけ健康に暮らす知恵を取り戻しましょう。ともすると西洋医 学の悪い面に頼りすぎて「対症療法」にのみ頼ってきたように思います。 「薬への依存」がひどくなっています。薬も使い方一つで役にも立つし、 毒にもなります。

今回は、思春期教育の常連だった「性、病気、犯罪」などから飛び出し、 『臨床心理やコミュニケーション』も越えて、個人から社会や組織へ目線 を変えて研鑽してみませんか。子どもたちが自立してゆく過程で、きっと役 に立つノウハウに気づくはずです。

セミナーをより効果的にするために、気軽に読める二冊の本を紹介してお きます。「自分ですぐできる免疫革命」大和書房/安保徹と「図解で身に つくドラッガーの理論」中経の文庫。

理念やミッションを具体化するために「具体的に行動する」ことに思い至 れば、ブレイクスルーもイノベーションも始まります。東日本大震災は、 神様が与えてくれた日本への警告と考え、未曾有のピンチですが、変化へ のチャンスと考えて努力してみませんか。ぼんやり何もしないでいたら、 子どもたちの暗い未来を残すことになってしまいます。子どもたちにたくまし く未来に挑戦する心をプレゼントしようではありませんか。今回のセミナ ーが、その突破口になれば幸いです。

高須 5月27日

次回のセミナーに向けて、その後の検討

5年間、先進的な先生方のお話を聞くことを中心としたセミナーを続けてきました。その間にも世の中は心配していた方向に変化を続け、いつの間にか、かなり気になるところまで来てしまったような気がします。今、手をこまねいて無策にすぎてしまったら、未来は確実にじり貧を重ね、もっと重傷になるのではないかと心配になります。危ない未来に向かって生きてゆく子供たちに荒波を乗り切って、より希望の持てる世の中を切り開いてもらいたいと切に期待しています。

このセミナーにおいても、以前とは違う社会の変化に適応するためにどのようなプログラムを用意すれば良いか、世話人の中で真剣に議論してきました。気になるところは、「昔に比べてプログラムは豊かになっているはずなのに」「基礎的で総合的な人間力」や「社会への適合」が軽視されているのではないか。先生方も知識はずいぶん豊かになっているのに、制度疲労の中で具体的な動きが少なくなっているのではないか。(高須の受け取っているニュアンス)

次回は、2月の予定をしていますが、満足できる段取りをするためには、少しきついかなと感じています。

中身を濃くするために知恵を絞りましょう。お力をお貸しください。

高須